【修理事例】マウスコンピューター EVA-01 | 電源が入らない|19Vは来ているのに起動しない原因を切り分け
今回は、マウスコンピューター製ノートPCの「電源がまったく入らない」症状についての修理事例です。
お預かりしたパソコンは、電源ボタンを押しても
電源ランプが点灯しない
ファンが回らない
画面も表示されない
起動音もない
という、完全に無反応の状態でした。
このような症状では、ACアダプターやバッテリー、メモリなど比較的簡単な原因から、マザーボード上の電源回路まで、順番に切り分けていく必要があります。
今回のパソコン
今回お預かりしたパソコンは、マウスコンピューターのゲーミングノート EVA-01、なんとエヴァンゲリオンコラボPCです。
主な構成は以下の通りです。
CPU:Intel Core i7-9750H
GPU:GeForce GTX 1660 Ti 6GB
メモリ:16GB
SSD:1TB NVMe SSD
ディスプレイ:15.6型 フルHD

発売から約6年が経過しているモデルです。
性能としては現在でも十分使える構成ですが、年数的には電源回路や冷却系などに不具合が出ても不思議ではない時期に入っています。
症状
今回の症状は非常にシンプルで、「電源ボタンを押しても何も起きない」というものでした。
ACアダプターを接続してもランプ類の反応はなく、電源ボタンを押してもファンが一瞬回るといった動きすらありません。
この場合、まず考えられるのは次のような原因です。
ACアダプター不良
DCジャック不良
バッテリー不良
メモリやSSDなどの周辺部品
CMOS関連
電源ボタン不良
マザーボード上の電源回路不良
まずは基本的な切り分け
最初に、起動に関係する部品を順番に確認しました。
メモリ・SSDを外して確認
メモリやSSDが原因で起動しなくなることもあるため、一度取り外して最小構成で確認します。
今回は、
SSD取り外し
メモリ取り外し
メモリ構成変更
などを試しましたが、症状に変化はありませんでした。
CMOSクリア
CMOSクリアも実施しましたが、こちらも改善なし。
この時点で、ストレージやメモリ、BIOS設定などが原因である可能性は低くなります。

ACアダプターから19.5Vが来ているか確認
次にテスターを使って、電源入力部分を確認します。
ACアダプター自体は正常で、約19.5Vを確認。
さらに、マザーボード上のDCジャック周辺でも約19.5Vが確認できました。
つまり、
ACアダプター → DCジャック → マザーボード入口
までは正常に電圧が来ています。
ここまでは問題ありません。
マザーボード上で19Vを追う
次に、マザーボード上の電源ラインを追っていきます。
入力フィルター付近では約19.5Vを確認できましたが、その先にある電源MOSFET周辺では、
ある端子には約19.5V
その先の端子は0V
という状態が確認できました。
つまり、
19.5Vはマザーボードに入っているものの、その先へ正常に供給されていない
可能性が高い状態です。

3.3V・5Vの待機電源も確認
ノートPCは、電源ボタンを押す前から3.3Vや5Vなどの「待機電源」が動いています。
そこで、マザーボード上のコイルを複数確認しました。
今回測定したところ、
4R7
2R2
などのコイルで、いずれもほぼ0V。
本来確認できるはずの3.3Vや5Vが出ていない状態でした。
このことから、待機電源そのものが立ち上がっていない可能性が高くなります。
電源ボタン自体も確認
ここまで調べると「そもそも電源ボタンが壊れているのでは?」という可能性も考える必要があります。
そこで、ヒートシンクを取り外し、電源スイッチ基板を確認しました。
電源スイッチは独立した小さな基板になっており、テスターの導通モードで確認。
ボタンを押していない状態では導通せず、押した瞬間だけ導通することを確認できました。
つまり、電源ボタン自体は正常です。
発熱もほとんどなし
通電状態でマザーボード上の温度も確認しました。
主要部品はいずれも30℃以下で、電源ボタンを押しても目立った温度変化はありません。
このことから、「一度起動しようとして停止している」というより、起動シーケンスそのものが始まっていない可能性が高いと判断しました。
今回の診断結果
ここまでの確認結果をまとめると、
ACアダプター:正常
DCジャック:正常
19.5V入力:正常
SSD:原因ではなさそう
メモリ:原因ではなさそう
CMOS:改善なし
電源ボタン:正常
マザーボード内の19Vライン:途中まで確認
3.3V / 5V待機電源:立ち上がっていない
という状態です。
このため今回は、マザーボード上の電源回路に不具合がある可能性が高いと判断しました。
特に、
入力MOSFET
電源制御IC
MOSFETのGate制御
3.3V / 5V待機電源回路
などが候補になります。
マザーボード修理は可能?
マザーボード故障と聞くと「もう交換しかない」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
今回のように、
19V入力は正常
完全ショートではない
待機電源が立ち上がらない
という場合は、MOSFETや電源ICなどの交換で復旧できる可能性があります。
ただし、CPUやGPU、チップセットなどにまで障害が及んでいる場合は、修理が難しくなることもあります。
マザーボード交換という方法も、交換用のマザーボードを探す方法もあります。
今回の構成は、
Core i7-9750H + GeForce GTX 1660 Ti 6GB
です。
同一または互換性のある基板を探す必要がありますが、すでに発売から約6年経過している機種のため、国内での流通はかなり少なくなっています。
海外からの取り寄せになる場合もあり、基板価格だけで数万円になるケースもあります。
また、中古基板の場合は、その基板自体の使用年数や状態が分からないという問題もあります。
修理か買い替えか
今回のように6年以上経過しているゲーミングノートの場合、
「直せるかどうか」
だけではなく、
修理費用と今後の故障リスク
も考える必要があります。
今回の故障箇所を修理できたとしても、年数的には、
ファン
バッテリー
SSD
液晶
ヒンジ
別の電源回路
などで、今後別の不具合が発生する可能性もあります。
そのため、高額な修理になる場合は、買い替えも含めて検討する必要があります。
ファイブボックスでは、パソコンの起動不良や電源トラブルについても、原因を一つずつ切り分けながら診断しています。
「電源が入らない」「突然起動しなくなった」といった症状でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。





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